2023/06/05 17:47

こんにちは

パン工房クルール(Bakery Colorer)の店主です。

今日は、パン屋をOPENするまでの経緯について書いてみようと思います。


 まず初めに、みなさんはパン屋の仕事って何時に起きていつ仕事を終えているイメージでしょうか? 自分がパン屋で働く前は、早朝に働いて夕方には帰っているのかなぁ、、、というイメージでした。実際は全く違いました。笑

 パン製造の素人だった私が始めて働かせていただいたパン屋さんでは、24時間体制で製造を行っていました。自分は夜勤でしたので、当時は18:00〜翌朝6:00まで製造していました。もちろん休憩以外はずっと立ちっぱなしで、トイレに行く暇もないくらい忙しく、テキパキと動かないと朝のスタッフが来た時までに仕事が終わらない(汗  という状況でした。でもそれが嫌だと思うことは一度もありませんでした。むしろ今まで作ったことのない、でも作りたかった、パン・クッキー・マフィン・キッシュなどを、私がお金をいただきながら手取り足取り教えていただける環境でしたので、それはとても恵まれていたなと、今でも思います。

 帰宅しては職場で学んだモノを再現しようと、スーパーで材料を買って、実家のオーブンで焼いて練習していました。それくらいパンやお菓子を作るのが好きな自分でした。


 しかし、自分はパン屋に勤め始めてすぐの頃に、体調を壊してしまいました。ヘルニアになって左足を引きずって働く状況になったため、長時間の立ち仕事ができなくなってしまいました。そして職場を辞めることになりました。<<足がダメになってしまったなら、あともう一つ前からやりたかった仕事に挑戦してみよう。。。>>という気持ちもあり、結局短期間で辞めることになり、そこから5年間はパンのお仕事から離れることになります。


 この期間、宿泊業の仕事をしておりましたが、職場のスタッフやお客様に、パン、ベーグル、クッキーを焼いて配っていました。やっぱりパンを作るのが好きだし、それを食べて喜んでくれる人がいる。つまりは、「自分が作ったモノで誰かが喜んでくれる」。これが非常に嬉しかったと思います。そして幸いにも以前のパン屋の同僚が、大分市でパン屋をOPENすることになり、そちらに休日を使ってパンの勉強をしに行きました。勉強しにいきたいと伝えた時、彼は快く受け入れてくれたので、とてもありがたかったです。こちらのブログでも彼のお店を紹介させていただきます。


instagram : 『パン工房エトワル 


 大分で人気のパン屋さんで、山の上でパン屋を運営しております。店内は優しい酵母やパンの香りがして癒されます。彼のキャラクターも気さくで面白く、そこがお店の繁盛にもつながっていると、私は密かに思っております。前職のパン屋でも人気ものでした。

 彼のおかげもあり、自分がまだ未熟な部分を学ばせてもらうことができました。5年間パン屋では働いておりませんでしたが、数ヶ月おきに一度ずつ、宿泊業の仕事が終わったらそのまま夜行バスで彼の元へ行き、数時間寝てからパン作りをスタート!それが楽しかったです。また、その途中で私はヘルニアの原因となっている箇所を手術で摘出し、現在のように働けるまでに回復しました。


 宿泊業を5年程させていただいたのち、朝倉市の地元の方と自営業を営む父親のおかげで、パン屋をOPENするチャンスをいただきました。技術にはまだまだすごく不安がありました。今のままでどこまでのレベルのパンが作れるのだろう。でも「やりたいことはやる!やりながらダメなとこは最速で改善ればいい!」という気持ちの方が最後は強かったので、パン屋をやる決心がついたのだと思います。もちろん周りの方のサポートが土台にあってできたことです。

 何か新しいことに挑戦する時、前職の宿泊業でお世話になった社長が「何事もトライ&エラーだよ」とよく言っていました。本当にその通りで、最初から99%のことは成功しないし、やってみてダメなら改善すればいいだけ。それを最速で繰り返すことで、どんどん成長できるのだと思います。あともう一つ、「できる理由を常に考えて」とも言われました。そうやって育ててくれた方がいたおかげで、難しく思えることでも、解決の糸口を見つけて来れたと思います。


 決断してからは、機材を揃えたのち、2ヶ月ほど試作の日々と材料の調達や内装のDIYが続きました。OPENに間に合うのかヒヤヒヤとしながらも、楽しみが入り混じった感情の中、なんとか2022年4月1日にOPENできました。多くの方に並んでいただいたのを今でもはっきりと覚えております。その期待に応えたいという気持ちと責任で、寝ることはほとんどなく仕事に明け暮れていました。いろんな意味で力不足の状態での営業でしたが、それでも「美味しい!」というお声が少しずつ聞こえ始め、それが少しずつ自分の自信やヤル気に繋がっていきました。


 そしてブログを書いている今、毎度OPEN前にお客様に並んでいただけるお店として、なんとか続いております。OPEN前でもお待ちいただいているお客様がいると、毎回嬉しく思います。小さなパン屋で営業時間も週に合計12時間だけという中でやっておりますが、それでも時間を作ってきていただける方がいるのは、本当にありがたいことです。もっと皆さんが、健康においしくパンを食べていただけるようになってほしいので、これからも自分のできる範囲で精一杯頑張らせていただきたいと思います。


 あとは自分の体調管理もしっかりしないといけないと思いました。パン屋始めてから3-4時間睡眠の生活なので、体は非常に疲れ切っていた様です。しっかり休むのも大事なことですね。 働き方も見直しながら、無理のない範囲で長くパンを作り続けていきたいです。


 ここまで長い文章をお読みいただき、ありがとうございます。今後とも、当店とパンそのものの成長をお楽しみにしていただけると嬉しいです。

店主


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当店人気の『チャバタ』。大分の同僚との思い出のパンです。